2009年7月1日水曜日

高層マンションに防災倉庫、条例で義務付けへ

日経のサイトに6月29日付けで少し気になるニュースが掲載されていました。

高層マンションに防災倉庫、条例で義務付けへ 東京都港区

東京都港区は新築の高層マンションに食料などを備蓄する防災倉庫の設置を全国で初めて条例で義務付ける。検討委員会を7月に発足させ、2009年度中の条例制定を目指す。震災でエレベーターが止まり、地上との行き来が困難になる高層階の住人の生活維持が目的。倉庫を設置すると1棟当たりの販売できる住戸数が減り、分譲価格が上昇する可能性もある。

飲料水や食料を保管できる倉庫を5階おきに1カ所以上設置する。各家庭の備蓄と合わせ、ライフラインが復旧しなくても1週間以上生活できるようにする。倉庫には医薬品や担架などの救護用具、携帯ラジオなどの防災用具も備蓄する。

今年5月に公表された「港区高層住宅の震災対策に関する基本方針」によれば、高層マンションの共用部分の備蓄倉庫に、救出用具、救護用具、マンホールトイレ、階段避難器具などの物品の備蓄を求めるとされています。この程度の物品であればエレベーターホールの片隅に収納スペースを設ける程度で収納できます。うちのマンションでもエレベーターホールにロッカーを設置することになりそうです。

収納スペースの容積率算定上の扱いがどうなるかはわかりませんが、いずれにせよマンションの設計には大きな影響はないとみられます。記事には「倉庫を設置すると1棟当たりの販売できる住戸数が減り、分譲価格が上昇する可能性もある」などと書いてありますが、記者の先走りでしょうね。

このほか、「港区高層住宅の震災対策に関する基本方針」では、飲料水、生活用水、食料品、簡易トイレその他の生活必需品を7日分、各家庭で自主的に備蓄することを求めています。震災時に必要となる非常用物資の中で一番嵩張るのは飲料水で、1人1日あたり2リットルが必要です。食糧や医薬品はそれほどの嵩にはなりませんが、もろもろを合わせて1人1日あたり1リットルくらいになるでしょう。1家族4人で必要な物資の量は1日あたり12リットル、1週間分では約85リットルとなります。

これは家庭内で備蓄するにはちょっと邪魔になる量ですので、共用部分の備蓄倉庫で備蓄することを検討するマンションも出てくるかもしれません。そうなると古くなった非常食の定期的な入れ替え等、管理組合の面倒な仕事は増えそうですが。

芝浦・港南エリアに限っていえば、品川火力発電所と大井火力発電所が目と鼻の先に控えているわけですから、たとえ震災が起きても電力供給は都内でも真っ先に復旧しそうです。とはいえ発電所や変電所がダメージを受けて電力の復旧が遅れたり、電力は復旧してもマンションのエレベーターがおしゃかになっている可能性もありますから、やはり非常用物資の備蓄が不要というわけにはいかなそうです。

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