2009年7月31日金曜日

港区で待機児童が増加、行政の対策は後手に

先日東京都から、都内における保育所の設置状況および待機児童の状況について、今年4月1日時点での統計データが公表されていました。統計によれば、子供の数(就学前児童人口)に対する待機児童の比率は港区が最高でした。すなわち、待機児童の状況は23区では港区が最もひどいと言えます。

就学前児童
人口(A)
保育サービス
定員(B)
待機児童数
(C)
待機児童率
(C)/(A)
待機児童率
対前年比
千代田区 1,882 678 0 0.00% △0.00%
中央区 5,759 1,874 132 2.29% △1.34%
港区 10,324 2,633 263 2.55% △0.81%
新宿区 10,021 3,997 70 0.70% △0.09%
文京区 8,100 2,274 86 1.06% ▲0.52%
台東区 6,529 2,074 46 0.70% ▲0.06%
墨田区 10,665 4,276 218 2.04% △0.29%
江東区 22,814 7,745 312 1.37% △0.38%
品川区 15,207 4,697 123 0.81% △0.03%
目黒区 10,439 2,956 144 1.38% △0.34%
大田区 30,992 9,385 314 1.01% △0.24%
世田谷区 37,588 8,553 613 1.63% △0.72%
渋谷区 7,370 2,380 78 1.06% △0.66%
中野区 10,736 3,491 190 1.77% △0.42%
杉並区 20,507 5,596 137 0.67% △0.23%
豊島区 8,574 3,309 122 1.42% △0.74%
北区 12,798 5,014 88 0.69% △0.30%
荒川区 8,504 3,400 49 0.58% ▲0.01%
板橋区 23,664 8,658 481 2.03% △1.03%
練馬区 34,235 8,868 429 1.25% △0.52%
足立区 31,503 9,918 418 1.33% △0.67%
葛飾区 20,899 8,380 62 0.30% △0.07%
江戸川区 38,059 11,079 238 0.63% △0.10%
23区計 387,169 121,235 4,613 1.19% △0.41%

就学前児童人口に対する待機児童の比率が2%を超えたのは23区では港区(2.55%)、中央区(2.29%)、墨田区(2.04%)、板橋区(2.03%)の4区でした。前年度と比べて待機児童比率の悪化が著しかったワースト3区は中央区(+1.34%)、板橋区(+1.03%)、港区(+0.81%)です。

「不況の影響で、お父さんの収入が減り、お母さんが働きに出ることを希望したため、保育所への入所希望者が増えた」と良く言われます。板橋区はこの説明が当てはまっています。板橋区では、保育所の利用を希望する率(=(保育サービス定員+待機児童数)/就学前児童人口)が前年度よりも上昇し、待機児童の増加の主因となっています。

しかし港区と中央区では、保育所利用希望率は逆に前年度よりも低下しています(それぞれ28.30%→28.05%、37.29%→34.83%)。港区と中央区では、待機児童の増加の主因は子供の数が大幅に増えたことにあります(それぞれ+6.65%、+11.75%)。

子供の数は品川区や江東区でもかなり増えていますが、これらの区では保育サービス定員(認可保育所・認証保育所・認定こども園・家庭福祉員の定員の合計)を着実に増やすことで、待機児童比率を低く抑えることに成功しています。

これに対して港区と中央区では、行政の対策が後手に回ってしまっているようです。なお、港区と中央区では保育所利用希望率が低下していますが、これは、認可・認証保育所に入れなかった子供が認可外保育所に回ったためと推定されます(認可外保育所はこの統計の対象外)。

港区の中でも特に人口増加が著しい芝浦・港南エリアでは、待機児童の状況はかなり悪いと推察されます。既に来年2月には港南三丁目に緊急暫定保育施設が開所することが決まっており、また港南四丁目にあるさわやか保育園も拡張工事中です。今後は状況は改善していくでしょう。

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