2009年4月28日火曜日

日経BP記事「リニア新幹線は品川始発でよいのか」

日経BPネットに、4月27日付けで同社の高槻長尚記者の「リニア新幹線は品川始発でよいのか―都心部への乗り入れの可能性は?」という記事が掲載されていました。全文の閲覧には会員登録が必要なようになっているため、記事本文は引用できませんので、要約を掲載します。

  • リニア新幹線の始発駅の候補には東京駅、品川駅、新横浜駅の3駅が挙がっているが、東京駅か品川駅のどちらかだろう。
  • 市街地の集積度を見ると、東京駅周辺は品川駅周辺よりも格段に大きい。なので乗客の利便性を考えるなら東京駅が勝る。
  • しかし東京駅は地下構造物が多い。ターミナル駅施設の建設のしやすさを考えるなら、地下構造物が少ない品川駅が現実的である。
  • JR東海は建設費を抑制したいだろうから、リニア新幹線の始発駅には品川駅を選ぶだろう。だが、東京駅への延伸も、状況によっては可能なようにしておくべきだ。

「始発駅には品川駅を選ぶだろう。だが、東京駅への延伸も、状況によっては可能なようにしておくべきだ」という結論には異論はないのですが、そこに至るまでの考察過程には同意できませんね。乗客の利便性で東京駅が勝るということはなく、品川駅が勝っていると考えられるためです。

東京駅の地下には既に京葉線ホームがありますので、リニアのホームを作るとすればそのまた下、地下40メートルあたりになります。東京駅2階の在来線ホームからリニアに乗り換えるためには、エスカレーターを延々乗り継いでいかねばなりません。乗り換えにかかる時間は、現在の秋葉原駅での山手線からTXへの乗り換えや上野駅での山手線から新幹線への乗り換えとほぼ同等、もしくはそれよりも長くなります。乗り換え時間は10分は見ないといけないでしょう。

品川駅ならば地下空間に十分な余裕があります。1階の在来線ホームから、地下1階のコンコースを通って、地下2階のリニアに乗車するという動線とすることも可能です。乗り換え時間はものの2~3分で済むでしょう。東京駅から品川駅までは東海道線で7分です。東北縦貫線で大宮方面から来る乗客にとっては、東京駅で乗り換えるのも、品川駅で乗り換えるのも、所要時間はほとんど変わらないことになります。

こうしたことを考えると、リニア始発を東京駅とすることで利便性が向上するのは、せいぜい東京駅徒歩圏内と、地下つながりの京葉線沿線に限られます。一方、リニア始発を品川駅とすれば、城南地域全般、川崎、横浜などの広範な地域で、リニア始発を東京駅とするよりも利便性が大幅に向上します。受益者となる人口規模は比較にならないでしょう。

というわけで乗客の利便性を考えても品川駅始発は動きそうにありません。ですが東京駅での需要も相当な大きさがあるでしょう。ですから、東京駅への延伸も状況によっては可能なようにしておくべきという結論には異論はありません。

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