2009年5月18日月曜日

国交省羽田・成田鉄道アクセスWGの検討結果が公表される

国土交通省では、2007年度に「成田空港と羽田空港の人流面の有機的連携に関する調査委員会」という研究会を設置し、都心部と成田空港・羽田空港との鉄道アクセス改善について検討を進めてきました。さらに、昨年11月に「成田・羽田両空港間及び都心と両空港間との鉄道アクセス改善に係るワーキンググループ」を設置し、学識経験者、自治体、鉄道会社などの代表者から意見を聴取していました。このワーキンググループの検討結果について、『日刊建設工業新聞』から今日付けで記事が出ていました。

国交省/成田~羽田間アクセス改善へ鉄道ルート案/都営浅草線に短絡線整備

国土交通省は、成田と羽田の両空港間の鉄道アクセス改善に向けて07年度から検討を進めてきた新たなルート案について、都営浅草線の押上駅~泉岳寺間延長11キロに短絡線を整備する案を選定した。成田空港の駅から都営浅草線押上駅までと、都営浅草線泉岳寺駅から羽田空港の駅までは既存線を活用し、押上~泉岳寺間に新線を整備して成田・羽田両空港を50分台で結ぶ計画。押上~泉岳寺間には「新東京駅」も整備し、都市内交通の利便性も高める。国交省は近く具体的な整備ルートや、新東京駅の位置・構造などの調査に入る。

成田空港の平行滑走路延伸完成(10年3月)と羽田空港のD滑走路完成(10年10月)による両空港の利用者増などを見据え、国交省は07年度から両空港を高速で結ぶ鉄道アクセスを検討。08年度には有識者や鉄道事業者、関係自治体などによるワーキンググループを設置し、既存ストックを活用しながら移動時間を短縮する四つの鉄道アクセス案の検討を進めてきた。

4案は成田空港の駅から既存の成田高速鉄道アクセス線、北総線、京成線、都営浅草線を利用して都心部に入る点は同じだが、その後の接続が異なる。「案1」は都営浅草線の押上駅から宝町駅までは既存線を利用し、その後の宝町駅~三田駅間に追い越し線を整備。「案2」は都営浅草線押上駅から泉岳寺駅間(延長11キロ)に短絡線を整備するが、新東京駅を経る。「案3」は都営浅草線押上駅から泉岳寺駅間(延長10キロ)に短絡線を整備するが、東京駅を経ない。「案4」は京成日暮里駅~都営浅草線泉岳寺間(延長10キロ)に短絡線を整備する。4案ともに三田駅または泉岳寺駅以降は京浜急行を経て羽田空港につながる。

国交省は最もアクセス時間を短縮でき、都市鉄道として最も需要が高い東京駅を経由する「案2」を選定。短絡線向けの東京駅は八重洲通り直下、丸ノ内線の直下、東京駅丸の内側にある仲通りの直下に駅を新設する3案を検討する。国交省は仲通り直下の新駅から斜め乗り換え通路を設けた場合、他路線(東京メトロ千代田線、都営三田線など)との乗り換え利便性が他の2案よりも高く、需要も大きいとみている。

国交省のワーキンググループは3月24日の第4回会合で検討を終えたはずだったのですが、検討結果の報道発表がなかったので、どうなっているのだろうと思っていました。おそらく、同時期に千葉県の森田新知事と神奈川県の松沢知事が羽田と成田とを結ぶ湾岸リニアの構想を発表したため、これとの調整が必要だったのでしょう。

都心部と成田空港・羽田空港との鉄道アクセス改善については、2001年頃から「都営浅草線の東京駅接着」などという話も出ていたのですが、いろいろと問題があり実現はしていませんでした。今回の案も今後どうなるかはわかりませんが、私は湾岸リニア構想と違って実現性の高い案であると考えています。

4つの案の中では、国交省の言う通り、案2の新東京駅ルートがベストと思います。路線長が長いため整備費用は増えますが、最も利便性が高く、千葉ニュータウン方面からの通勤需要も喚起できるためです。新東京駅の位置も仲通り直下がベストと思います。この新線が開業すれば、新東京駅から成田空港までは40分弱、羽田空港までは20分程度にまで短縮されます。新線の整備費用は、各種の情報によれば3,000億円程度と見込まれています

ただし、ワーキンググループの検討結果の発表と合わせて、京急品川駅の地下化の構想が発表されることをより期待していました。残念ながら今の段階ではそこまで踏み込んだ構想とはなっていないようです。リニア新幹線の開業に向けた品川駅高輪口の再開発や、八ツ山の踏切解消のためには、京急品川駅の地下化が不可欠であると思われます。


(5/20追記)日刊建設工業新聞の記事の元ネタは「首都圏空港(成田・羽田)における国際航空機能拡充プランの具体化方策についての懇談会(第2回)」の配布資料(資料4)だったようです。資料3を見ると、湾岸リニア構想を意識したアンケート調査も行っているようですね。

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